診療設備・医療機器 ~手術・麻酔~

手術には全身麻酔がつきものです。しかしながら、麻酔にはリスクを伴います。リスクを最小化するためには様々な取り組みが必要となります。

まず術前の検査(血液検査やX線検査、超音波検査など)を含めた全身状態のチェックとリスク評価を行い、手術中の麻酔管理(心電図や血圧、呼吸状態および麻酔深度など)、体温管理、痛みのコントロール、そして麻酔時間の短縮や術後管理などに積極的に取り組みます。

 

当院での麻酔や手術に用いる機器の一部をご紹介します。

生体モニターBIOSCOPE AM120(FUKUDA M.E)

麻酔中の患者様の状態をモニターする装置です。麻酔担当の獣医師が心電図、心拍数、呼吸数、呼気中の炭酸ガス濃度、酸素飽和度(SpO2)、血圧、体温及び麻酔ガス濃度を常時モニターし、麻酔の調整や適切な調節呼吸を行います。

麻酔および人工呼吸器 COMPOSβ-EV(Metran)

麻酔中に呼吸が停止した場合には、調節呼吸により適切な呼吸管理を行うことができます。

温風式加温装置COCOON  patient warming system(Care Essentials Pty Ltd)

全身麻酔中は体温が下がります。手術中の著しい体温低下は重大な合併症につながったり術後回復が遅れたり、ときには生死にかかわります。一般的に用いられている下敷きのペットヒーターでは保温効果はあまり期待できず、さらに低温やけど等のリスクがあります。当院では人医療で推奨されている安全かつ効果的な『温風式加温』を採用しており、より安全に手術を行うことができます。

輸液加温器 F-CARE(KIMURAMED)

麻酔中に体温低下を招く要因はいくつかありますが、輸液(静脈点滴)もそのうちの1つです。
あらかじめ輸液剤をインキュベータや電子レンジで温めておく予熱法や一般的なヒト用の輸液加温器を用いても、ヒトよりも体重の軽いわんちゃんやネコちゃんでは流量が少ないため、一度予熱した輸液剤が患者様に到達するまでの間に外気によって冷却されてしまい体温低下を招く原因となります。
この装置は、電熱ヒーターを内蔵したWarming Profileによって患者様への輸液投入直前まで輸液を温め続けることができるので、
輸液による体温低下を防止できます。

電気メス高周波焼灼電源装置 ESG-400(OLYMPUS)

最新型の電気メスです。外科手術には出血を伴いますが、高周波エネルギーにより速やかに血管を焼灼し止血を行う機器が電気メスです。人医療でも獣医療でも外科手術の安全性の根幹を担う機器です。当院では、さまざまな手技に対応可能なハイグレードの電気メスを導入しております。

 

血管シーリングシステム ESG-400/USG400 『THUNDERBEAT』『SONICBEAT』 (OLYMPUS)

超音波シザースの『SONICBEAT(ソニックビート)』および 高周波と超音波メスを集約した最新のエネルギーデバイス『THUNDERBEAT(サンダービート)』を使用しています。止血のための縫合糸を使わずに7mmまでの血管を安全に封止(シーリング)することができるため、腹腔内に残った縫合糸による肉芽腫形成のリスクを低減することができます。また、血管の封止と切離操作を極めて迅速に行うことができるため、手術時間の短縮により手術/麻酔のリスクを低減することができます。開腹手術および腹腔鏡手術に使用します。

THUNDERBEAT Open Fine Jaw(OLYMPUS)

高圧蒸気滅菌器 YS-A-C207J(yuyama)

手術器具や処置器具などを滅菌し無菌状態にします。

EOG滅菌器イオジェルク(CanonLifecareSolutions)

熱に弱い器具やチューブ類などを滅菌することができます。高圧蒸気滅菌器では対応できないものも当院では滅菌して使用します。

手術器具(B. Braun Aesculap 他)

開腹手術セット、眼科手術セット、マイクロサージャリー手術セットに加えて、バックアップのための個別滅菌器具や特殊鉗子等を常時使用できるよう滅菌状態で保管しております。開腹手術は連続4回分の器具セットを準備しています。難易度の高い手術や専門性の高い手術などは二次診療施設や専門医をご紹介いたします。