4月2017

診療設備・医療機器 ~手術・麻酔~

手術には全身麻酔がつきものです。しかしながら、麻酔にはリスクを伴います。リスクを最小化するためには様々な取り組みが必要となります。

まず術前の検査(血液検査やX線検査、超音波検査など)を含めた全身状態のチェックとリスク評価を行い、手術中の麻酔管理(心電図や血圧、呼吸状態および麻酔深度など)、体温管理、痛みのコントロール、そして麻酔時間の短縮や術後管理などに積極的に取り組みます。

 

当院での麻酔や手術に用いる機器の一部をご紹介します。

生体モニターBIOSCOPE AM120(FUKUDA M.E)

麻酔中の患者様の状態をモニターする装置です。麻酔担当の獣医師が心電図、心拍数、呼吸数、呼気中の炭酸ガス濃度、酸素飽和度(SpO2)、血圧、体温及び麻酔ガス濃度を常時モニターし、麻酔の調整や適切な調節呼吸を行います。

麻酔および人工呼吸器 COMPOSβ-EV(Metran)

麻酔中に呼吸が停止した場合には、調節呼吸により適切な呼吸管理を行うことができます。

温風式加温装置COCOON  patient warming system(Care Essentials Pty Ltd)

全身麻酔中は体温が下がります。手術中の著しい体温低下は重大な合併症につながったり術後回復が遅れたり、ときには生死にかかわります。一般的に用いられている下敷きのペットヒーターでは保温効果はあまり期待できず、さらに低温やけど等のリスクがあります。当院では人医療で推奨されている安全かつ効果的な『温風式加温』を採用しており、より安全に手術を行うことができます。

輸液加温器 F-CARE(KIMURAMED)

麻酔中に体温低下を招く要因はいくつかありますが、輸液(静脈点滴)もそのうちの1つです。
あらかじめ輸液剤をインキュベータや電子レンジで温めておく予熱法や一般的なヒト用の輸液加温器を用いても、ヒトよりも体重の軽いわんちゃんやネコちゃんでは流量が少ないため、一度予熱した輸液剤が患者様に到達するまでの間に外気によって冷却されてしまい体温低下を招く原因となります。
この装置は、電熱ヒーターを内蔵したWarming Profileによって患者様への輸液投入直前まで輸液を温め続けることができるので、
輸液による体温低下を防止できます。

電気メス高周波焼灼電源装置 ESG-400(OLYMPUS)

最新型の電気メスです。外科手術には出血を伴いますが、高周波エネルギーにより速やかに血管を焼灼し止血を行う機器が電気メスです。人医療でも獣医療でも外科手術の安全性の根幹を担う機器です。当院では、さまざまな手技に対応可能なハイグレードの電気メスを導入しております。

 

血管シーリングシステム ESG-400/USG400 『THUNDERBEAT』『SONICBEAT』 (OLYMPUS)

超音波シザースの『SONICBEAT(ソニックビート)』および 高周波と超音波メスを集約した最新のエネルギーデバイス『THUNDERBEAT(サンダービート)』を使用しています。止血のための縫合糸を使わずに7mmまでの血管を安全に封止(シーリング)することができるため、腹腔内に残った縫合糸による肉芽腫形成のリスクを低減することができます。また、血管の封止と切離操作を極めて迅速に行うことができるため、手術時間の短縮により手術/麻酔のリスクを低減することができます。開腹手術および腹腔鏡手術に使用します。

THUNDERBEAT Open Fine Jaw(OLYMPUS)

高圧蒸気滅菌器 YS-A-C207J(yuyama)

手術器具や処置器具などを滅菌し無菌状態にします。

EOG滅菌器イオジェルク(CanonLifecareSolutions)

熱に弱い器具やチューブ類などを滅菌することができます。高圧蒸気滅菌器では対応できないものも当院では滅菌して使用します。

手術器具(B. Braun Aesculap 他)

開腹手術セット、眼科手術セット、マイクロサージャリー手術セットに加えて、バックアップのための個別滅菌器具や特殊鉗子等を常時使用できるよう滅菌状態で保管しております。開腹手術は連続4回分の器具セットを準備しています。難易度の高い手術や専門性の高い手術などは二次診療施設や専門医をご紹介いたします。

診療設備・医療機器 ~内視鏡~

動物病院で内視鏡といえば、一般的に『胃カメラ』を指します。誤飲してしまった胃内異物を取る以外はほとんど活躍しないことも多いようです。しかしながら内視鏡は本来、多くの診療科で使用されます。

消化器科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、呼吸器科。。。そして内視鏡外科(腹腔鏡、胸腔鏡など)。

 

内視鏡は『胃カメラ』以外にも各診療科での設備が必要となるため、全てに対応できる一次診療施設は、全国的にも少ないのが現状です。こころ動物病院では、(現在のところ関節鏡以外での)獣医療領域で適用できる診療科で内視鏡を使用しています。

内視鏡は『軟性内視鏡』と『硬性鏡』に分かれます。

『軟性内視鏡』に分類されるものが『消化器内視鏡』や『気管支内視鏡』などです。

消化器内視鏡(消化器科)

いわゆる『胃カメラ』および『大腸カメラ』です。嘔吐や下痢が続く場合や吐血、血便時などにおいて、食道および胃や十二指腸、大腸内の観察、組織生検に使用します。また、飲み込んでしまった胃内の異物除去に使用します。当院では現在2種類のビデオスコープを使用しています。

消化器内視鏡処置具(消化器科)

組織生検やポリープの切除、飲み込んでしまった胃内の異物摘出に使用します。当院では生検鉗子をはじめ、高周波スネアによるポリペクトミー、様々な形状の異物にも対応できるよう数種類の摘出鉗子を取り揃えています。

気管支内視鏡(呼吸器科)

気管支鏡は、呼吸器疾患の診察や異物吸引時の異物摘出に使用します。組織生検や細胞診により詳細に検査することができます。また、呼吸器系の病原体の検出にも重要な検査です。当院では現在2種類のビデオスコープを使用しています。小型犬や猫には直径3.3mmの細径ビデオスコープを使用しています。

鼻咽頭内視鏡(耳鼻咽喉科)

鼻咽頭部の観察、処置には細径のビデオスコープを使用しています。異物が確認された場合には把持鉗子を用いて摘出したり、生検鉗子を用いて組織生検を行うことができます。

ビデオスコープ URF-V(OLYMPUS)他

 

『硬性鏡』は直線状のスコープです。『鼻腔鏡』や『ビデオオトスコープ(耳内視鏡)』、『腹腔鏡』などに使用されます。

鼻腔鏡(耳鼻咽喉科)

原因が特定できない慢性的な鼻汁やくしゃみ、鼻出血などの場合には、内視鏡により鼻腔内の確認が必要です。異物が確認された場合には把持鉗子を用いて摘出したり、生検鉗子を用いて組織生検を行うことができます。また、レーザーを使用して治療を行います。

尿道膀胱内視鏡(泌尿器科)

原因が特定できない難治性の膀胱炎や排尿困難、超音波検査等により膀胱の異常が確認された場合などには、内視鏡により膀胱内部の確認が必要です。硬性鏡や細径ビデオスコープを使用します。生検鉗子を用いて組織生検を行うことができます。

OES Pro Compact Cystoscope(OLYMPUS)他

ビデオオトスコープ(耳道内視鏡)

耳の内視鏡です。一般的な手持ち式の耳鏡ではできない外耳炎および中耳炎の診断や処置を行うことができます。また、半導体レーザーを使用して耳道内の腫瘍を摘出することができます。

カテゴリー~耳鼻咽喉科~を参照

 

内視鏡外科(腹腔鏡)

カテゴリー~腹腔鏡~を参照

診療設備・医療機器 ~歯科~

犬や猫はほとんどむし歯にはなりません。

ですが、歯垢や歯石の付着により歯周病になってしまいます。

歯周病により口臭がひどくなり、歯が抜けてしまう場合や頬が腫れたり、あごの骨が融解して骨折したり、歯周病菌の播種によって内臓疾患がおこり病気になることもあります。

また、牛骨やヒヅメを与えている場合には、歯が割れたり(エナメル破折)欠けたり、摩耗(咬耗)してしまうことも多く、歯を削って詰めものをする保存修復も行いますが、多くの場合には抜歯が必要となります。(牛骨やヒヅメ、硬いおもちゃなどは推奨されません)

猫では難治性の歯肉炎や口内炎も多く、抜歯や薬剤による治療が必要となります。

超音波スケーラー

オサダエナック10WV(OSADA)

歯医者さんでおなじみ、超音波振動により歯石を除去する機器です。特殊なチップにより抜歯時にも使用します。

歯科用マイクロモーター

VIVAMATE G5/VIVAsupport 2(NSK) 

内部注水式LEDマイクロモーターと注水・排唾システムがセットになった歯科ユニットです。歯の切削や歯石除去後のポリッシング(研磨)を行います。歯科治療において、ただ歯石を取るだけでは意味がありません。歯面の研磨と歯周ポケットの治療を必ず行います。

Ti-Max X95L 増速1:5(NSK)

FX57 減速4:1(NSK)

 

歯科用器具/保存歯科器具(B. Braun Aesculap 他)

歯科で用いる器具です。歯石を取ったり、歯周ポケットの治療をしたり、抜歯や切削したところを充填するための器具をそろえています。状況によりレーザーを用いた歯肉炎の治療やメスを用いての外科的な抜歯、歯の神経を治療する歯内療法を行います。

 

5月のお知らせ

雪解けが進み、春のお花が顔を出し始めましたね。

ようやく遅い春の到来を感じる季節になりました。

さて、5月のお知らせです。

   5月10日(水) 休 診

   5月21日(日) 午後休診(獣医師会業務の為)

   5月26日(金) 午後診察時間変更:午後6時受付終了

       *尚、午前診察は通常です。(獣医師会業務の為)

 

ご不便おかけ致しますが、よろしくお願い致します。

 

今年もお花見にいきたいのん♪早くお花の季節にならないかなぁ~

今年もお花見にいきたいのん♪早くお花の季節にならないかなぁ~